【プロが教える】駐在ファミリーのためのシンガポール賃貸マニュアル2025——内見・契約・入居・退去まで、戸惑わないための実践ガイド
- 2025年11月25日
- 読了時間: 8分
更新日:2025年11月27日
シンガポールで始まる新しい生活!学校や生活の準備と並んで、最初の大きな関門となるのが「住まい探し」です。
せっかく数年間暮らすなら、シンガポールの賃貸の仕組みをきちんと理解して、家族みんながくつろげるお気に入りのエリアと住まいを見つけたいですよね。
今回は、不動産エージェント フォーランド・リアルティ(Forland Realty) の米島陽介さんに、現場の実体験をもとに、駐在ファミリーが知っておくと安心なポイントを詳しく伺いました。

シンガポール賃貸の基本を押さえよう
——家具付き・高湿度・オーナーとのやり取りの3つのキーワードで理解する
1. 家具付き物件が基本
日本では家具家電なしが一般的ですが、シンガポールでは標準設備として冷蔵庫・洗濯機・エアコン・カーテンが付いているほか、1〜2 ベッドルームではソファやダイニングセット、ベッド・マットレスまで備わっていることが多くあります。
ただし、オーナーは数年単位で入居者の入れ替わりを想定しているため、IKEAやFortyTwoなどの手頃な家具を配置しているケースが多いのが実情。デザインが合わない・傷みが気になる場合は、交渉の段階で交換や撤去を相談してみることも可能です。
2. 劣化スピードは日本の“倍以上”
シンガポールは年間を通じて高温多湿。リノベーションによって見た目は新しくても、配管や電気系統などの見えない部分が劣化している場合もあります。入居後に不具合が発生しやすい点も覚えておきましょう。
「見た目がきれいでも、築20年以上の物件では配管トラブルが起きやすいです。日本の約2倍のスピードで設備が傷むと考えておくのが現実的です」(米島さん)
3. “オーナーと交渉する機会が多い”
家具の有無、ペットの可否、入居日、家賃額など——シンガポールの賃貸では、オーナーによって条件や対応の柔軟さに大きな差があります。エージェントはその間に入り、双方の希望を調整しながら契約をまとめます。
「日本では一度入居するとオーナーと関わる機会は少ないですが、シンガポールでは物件要件やトラブル対応もオーナー次第。入居から退去まで、やり取りが発生する場面は多いですね」(米島さん)
駐在ファミリーに人気エリアと家賃の傾向

1. オーチャード〜リバーバレー周辺
日本人駐在員に最も人気の高いエリア。日本食材店やデパート、日系スーパー(明治屋・伊勢丹スコッツなど)、日系の病院・塾が揃い、日本とほとんど変わらない生活環境を実現できます。便利さの反面、家賃は高め。
「“生活のしやすさ”で選ぶならこのエリア。ただし、利便性の分だけ賃料は張ります」(米島さん)
2. ノベナ・レッドヒル・チョンバルなど
中心地にほど近く、利便性と落ち着きを兼ね備えたエリア。ノベナは医療ハブで病院や子供の習い事教室が多く、レッドヒルやチョンバルはローカルとモダンなエリアが共存している街。賃料はオーチャード~リバーバレーより抑えられる傾向です。
「日本人小学校のバスが停まるコンドミニアムも多く、ファミリー層に人気です」(米島さん)
3. イーストコースト・ウエストコースト
海沿いや自然の多い環境を好むファミリーに人気のエリア。週末はイーストコーストパークでピクニックやサイクリングを楽しむ人も多く、“のびのびとした暮らし”が叶う地域です。ウエストコーストには日本人小学校クレメンティ校・日系幼稚園や早稲田渋谷シンガポール校があり、教育面でも人気があります。
近年の家賃動向(2022〜2025)
コロナ禍では新築物件の建設の停止による供給遅れで2022年に賃料が急騰。2023年後半にピークを迎え、2024年は一時的に下落。2025年は、
「緩やかな上昇基調に戻っているものの、全体的に安定しています」(米島さん)
物件探しの“インフラ”——PropertyGuruの使い方
シンガポールでは、日本のような「不動産会社専用の物件検索システム」は存在せず、PropertyGuruが全国共通の賃貸プラットフォームとして機能しています。エージェントも入居希望者も同じサイトを利用して物件を探すのが一般的です。
「お部屋を貸したいオーナーさんは複数のエージェントに依頼し、エージェントがPropertyGuru上で広告・仲介を行う仕組みです」(米島さん)
注意したいポイント
同一物件が複数のエージェントから掲載されている
価格や条件が異なることがある(交渉を見越した設定)
成約済みでも掲載が残っている場合がある
気になる物件を見つけたら、まずはエージェントに空室状況を確認するのが第一歩です。
内見時にチェックしておきたいポイント
お部屋を借りている入居者は、退去の2 カ月前までにオーナーへ通知するのが一般的。そのため、内見は現入居者がまだ住んでいる状態で行われることが多いです。
「家具の所有者(オーナーか現入居者か)は、内見時に必ず確認しておきたいポイントです。所有者によって、入居後に残る家具が変わります」(米島さん)
また、騒音(日中・夜間・工事など)や日射の入り方、共有施設の状態など、オンラインでは分からない点をチェックしておきましょう。
「同じコンドでも、家具や管理状態が部屋によって全く違います。優先順位の高いコンドでは、複数の部屋を比較すると効率的です」(米島さん)
賃貸契約で必ず押さえておくべき3条件
賃貸契約においても日本と異なる確認しておきたいポイントがあります。
1. マイナーリペア上限金額が明記されているか?
入居後の軽微な修理費をテナントが負担する慣習があります。「マイナーリペア(Minor Repair)」と呼ばれ、契約書に上限金額(200〜300 ドル)が明記されるのが一般的です。修理費が上限を超える場合、残額はオーナー負担となります。
2. エアコンのメンテ・修理負担についての記載があるか?
暑いシンガポールでは、エアコンの不具合はもっとも多いトラブルの一つです。
そのため、定期メンテナンス(サービス)と修理費用を誰が負担するのかは、必ず契約書で確認しておきたいポイントです。
一般的には、
定期メンテナンス(3カ月に1回):テナント負担
修理費用:定期メンテをしていればオーナー負担
というケースが多く見られます。
また、また、法人名義の契約では、定期メンテナンスの費用がオーナー負担になるケースがより多い傾向があります。
いずれの場合も、「メンテナンスの頻度」と「費用の負担者」が契約書に明記されているか確認しておきましょう。
3. ディプロマティック条項についての記載があるか?
ビザ停止や帰任などで契約途中に帰国する場合に、途中解約を認める条項です。多くは「12 カ月経過後+2 カ月前通知」(最低14 カ月居住)で解約可能。口頭合意は無効とされるため、必ず書面で明記されているか確認しましょう。
入居時のポイント——“証拠づくり”がトラブル防止の鍵

めでたく契約が済み、いよいよ入居!ですが、退去時の思わぬトラブルや出費にならないように入居時にも気をつけたいポイントがあります。
① 「数百枚の写真・動画」で入居時の状態の証拠を残す
入居時の記録は、退去時のデポジット返還に直結します。壁の傷、家電の型番、カーテンの汚れなど、細部まで撮影を。
「家電の動作確認や水漏れは動画で残すのが安心です」(米島さん)
② インベントリ(備品リスト)との突き合わせ
オーナーから渡される備品リストと現物を照らし合わせ、鍵の本数・家具の数などの相違がないか確認します。記載と実物が違う場合は、サイン前に修正依頼を。
③ 入居後30日間の“マイナーリペア”期間を最大限活用しよう!
上記のとおり、シンガポールではマイナーリペアはテナント負担になります。しかし、入居直後の30 日間は、オーナー負担で修理できるケースが多いです。この期間にすべての設備を使い、カーテンや家具の細部、隠れた傷なども確認しておきましょう。
シンガポールでよくある家のトラブルと生活での工夫
エアコンの故障:24時間つけっぱなしは傷む原因となるのでNG。特に部屋の窓を開ける時など、外気が入ってくる時はエアコンをOFFにするなど、エアコンの負担を抑える工夫を。年に4回の定期メンテナンスも厳守。
水回り:排水口や洗濯機フィルターをこまめに清掃。
設備トラブル:トラブルが起きてしまった場合は、動画・写真で記録し、エージェントへ報告しましょう。
退去時の手続き・注意点
退去を決めたら、契約満期の2 カ月前までにオーナーへ通知します。退去時には、室内清掃とカーテンのドライクリーニングが求められるのが一般的です。
「清掃後に日を空けると“ホコリが溜まったから再清掃を”と言われることも。退去日直前のクリーニングが理想です」(米島さん)
スムーズに退去するためのポイント
明らかな汚れや不具合は事前に修理
備品リストと退去時の現物を再確認
退去前に次の入居希望者の内見が入ることもあるため、スケジュールを余裕もって調整を
フォーランド・リアルティの特徴
フォーランド・リアルティは、シンガポール在住日本人・駐在ファミリーを中心にサポートする不動産会社。オフィスや店舗の仲介も可能です。日本語対応の日本人・シンガポール人スタッフが常駐しており、契約やトラブル対応も安心です。チーム制による迅速な対応に加え、法人設立、ビザの申請、住居手配まで、シンガポール移住全般のサポートも行っています。
「不慣れな海外生活を少しでも快適に過ごしていただけるよう、ご希望に近い物件をご紹介しています。お気軽にお問い合わせください」(米島さん)
まとめ
大都会・シンガポールですが、やはり日本とは異なる点も多いもの。その中で毎日を過ごす家は、家族みんなにとって心からくつろげる場所であってほしいですよね。今回は駐在ファミリーが知っておくと駐在生活がもっと快適になる、シンガポール賃貸の基本についてご紹介しました。次回もお楽しみに!

米島陽介さんプロフィール
シンガポール在住11年。2016年よりForeland Realty Network Pte Ltdにて、お客様のお部屋探しのお手伝いとご入居後のアフターフォローを担当。シンガポールへの移住に関するご相談も承ります。






