シンガポール帯同中に働きたいと思ったら?【現地就職編】基本と押さえておきたいポイント
- Miyako Beppu
- 9月15日
- 読了時間: 6分
帯同でシンガポールに来てしばらく経つと、「私も何かしてみたいな」という気持ちが湧いてくることはありませんか?
LIFE TIPS IN SINGAPOREでは、「帯同期間をもっと有意義に過ごしたい」と思う帯同者を応援すべく、これまでイベント等を通じて自分と向き合ったり、キャリアについて考える時間を作ったりしてきました。
今回はもう少し実践的な内容ということで、帯同期間に「働きたい」と思ったときの選択肢の一つ、現地就職について、東南アジアの就職状況に深い知見をもつリーラコーエン シンガポールのブランチマネジャー須長翔一さんにお話を伺いました。

1|DPの方が働くための就労ビザ:EP/S Pass/Work Permitの基本
DP(Dependant's Pass)はあくまで「居住ビザ」であるため、シンガポールで働くには必ず「就労ビザ」を取得する必要があります。
シンガポールにおける主な就労ビザには EP(Employment Pass)/S Pass/Work Permit の3種類がありますが、DP保持者が働く場合は Work Permit を取得するケースが最も多く見られます。
Employment Pass(EP)
大卒以上、かつ給与基準を満たす必要あり
適格給与:5,600SGD以上(金融セクターは6,200SGD)
2023年導入のポイント制「COMPASS」もクリア必須
S Pass
準専門職や技術者向け
適格給与:3,300SGD以上(金融セクターは3,800SGD)
Quota制度あり:シンガポール人雇用数に応じて発給枠が決まる
Dependant's Pass + Work Permit
給与基準なし
帯同ビザ保持者が就労できる国は少ないため、シンガポールはその点で貴重
上述の通り、EPやS passには給与基準や発給枠数に条件がありますが、Work PermitはEP/S Passと比較し取得枠の条件が緩く、企業にとって発給しやすいビザです。
本来Work Permitは、シンガポールにより定められた国籍の方がサービス業や建設業、製造業等で勤務する際に発給されるビザであり、日本国籍はこちらに該当しておりません。しかし、DP保持者に限っては国籍を問わず取得可能であるため、企業と候補者の条件が合えば比較的スムーズに取得できるのが特徴です。
一方で、DP保持者の中にはEPやS Passを取得して働く人もいます。ただし、この場合は DPからEP/S Passへ切り替える形となり、DP自体は失効します。これに対して、Work PermitはDPを保持したまま取得できるという違いがあります。
2|市場を知ることから始めよう:求人はあるが多くはない
近年のシンガポールでは、日本語話者向けの求人が安定的に約900件前後出ています。しかし一方で、候補者は2000名以上。(下図参照)

見た目比率で言えば「100人の応募に対して40人分しか募集案件がない」状態です。しかも、その全てが外国籍に開かれているわけではなく、基本的にはシンガポール人やPR(永住者)の方々が優先されます。
つまり、雇用されるチャンスはあるけれど決して多くはない、というのが現実です。
【オフィス勤務/フルタイム・パートタイムの割合】

働き方の傾向としては、完全在宅勤務の求人は2%未満とほとんどなく、在宅が可能でも「週1〜2日のハイブリッド勤務」が中心です。(上図左円グラフ) また、求人の9割以上がフルタイム勤務で、パートタイム求人はごくわずか。子育てと両立しながら柔軟に働きたい方にとっては選択肢が限られている状況です。(上図右円グラフ)
一方で、英語力の条件は幅広く、「ビジネスレベル必須」とされるものから「自身の意思が伝われば大丈夫」という求人までさまざま。
「英語力に自信がなくても 、積極性を持って臆せずコミュニケーションをとる姿勢があれば採用されるポジションもあります。僕自身も最初はそのレベルで海外に出ましたから」(須長さん)
3|就活の流れ:登録から入社後フォローまで
基本的な流れは日本と大きく変わりません。以下が一般的なステップです。
1. 人材紹介会社のサイトで無料会員登録
2. コンサルタントとの面談で経験や希望を伝える
3. 求人紹介を受けて応募
4. 書類選考 → 面接へ進む
5. 内定→入社
面接日程の調整や準備、給与交渉は人材紹介会社がサポートしてくれることが多く、入社後も定期的なフォローをしてくれるケースがあります。
4|よくあるお悩み①:希望に合う求人が見つからない
就職活動で多くの方が感じるのが、「やりたいことや経験に合う求人が見つからない」という壁です。
須長さんは、仕事内容がこれまでのキャリアに直結しなくても、海外で働いた経験自体に価値があると強調します。
「外国人と働いた経験や英語を使った経験は、日本に帰国してからもその積極性や行動力を含め評価されることが多いです。たとえご自身の希望や経験とぴったり一致しないお仕事であっても、“海外で働いた”という実績そのものが、今後のキャリアの幅を広げる大切な財産になると考えています」(須長さん)
「シンガポールにいるうちに現地企業で働いてみたい」という気持ちがあるなら、これまでの経験と完全には一致しなくても挑戦してみる価値はありそうです。
5|よくあるお悩み②:登録したがその後連絡がない
「人材紹介会社に登録したのに、その後連絡が来ない」という方も多いのではないでしょうか。もしそのような場合があるとすれば、現在は希望に合う求人が存在しない可能性があります。
そんなときにできる工夫は:
複数の日系エージェントに登録して、求人に触れる機会を増やす
外資系エージェントにも登録して、情報の幅を広げる
LinkedInにプロフィールを登録し、スカウトや直接応募のチャンスを広げる
「弊社ではご不安を感じさせてしまうようなことが無いよう努めておりますが、機会が限られている現地採用のお仕事探しにおいては縁とタイミングが最も大切です。幅広いプラットフォームにご自身の情報を登録しておいて、アンテナを張っておくことも大切だと思います。」(須長さん)
6|リーラコーエンはこんな人材紹介会社です!

リーラコーエンは東南アジアを中心に展開する人材紹介会社。シンガポールの他、マレーシア、タイ、ベトナム、台湾、日本に拠点があります。

シンガポール拠点では、就職情報だけでなく当地での買い物事情や子どものお出かけ先、レストラン情報など生活に役立つ情報をブログやSNSで継続的に発信。
また、正社員・フリーランス・国際結婚など多様な経験を持つコンサルタントが在籍しており、それぞれの候補者の状況や背景に寄り添ったサポートができることも大きな強みです。
【リーラコーエン シンガポール】
オフィス::3 Anson Road, #08-03 Springleaf Tower, Singapore 079909
まとめ
帯同ビザを持つ方でも、就労ビザを取得することで「海外で働く」という経験が得られるシンガポール。その環境は、挑戦したい帯同者にとって大きな可能性となります。
もちろん、フルタイム中心・在宅勤務が限られるといった現実的な制約もあり、希望に合う求人に出会えないことも多いかもしれません。それでも、正しい情報を得て選択肢を理解することは、帯同生活をより有意義な時間に変える第一歩になります。
LIFE TIPSは、「せっかくの帯同生活をもっと有意義に過ごしたい!」と考える皆さんをこれからも応援していきます!
須長 翔一(すなが しょういち)さん プロフィール

Reeracoen Singapore Pte. Ltd Branch Manager
1993年神奈川県生まれ。大学卒業後、ディップ株式会社でキャリアコンサルタントを経験。
リーラコーエングループに入社後、フィリピン・ベトナム拠点でマネジメントを歴任し、数々のMVP賞を受賞。
現在はシンガポール拠点のブランチマネジャーとして多くの方のキャリア支援に携わっている。
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