ハリラヤ・ハジとは?シンガポールの祝日・意味・過ごし方まとめ|ハリラヤ・プアサとの違いも
- Miyako Beppu
- 5月22日
- 読了時間: 5分
更新日:10月31日
「え、6月7日って祝日だったの?何の日?」
そんなふうに思った方も多いのではないでしょうか。
6月7日はシンガポールの祝日ですが、土曜日にあたるため、実感がないまま過ごしてしまう方も少なくないかもしれません。
この日は、「Hari Raya Haji(ハリラヤ・ハジ)」と呼ばれるイスラム教徒の祝日です。
2025年の実際のハリラヤ・ハジは、6月6日(金)の日没から6月10日(火)の日没まで。
この期間、多くのイスラム諸国では複数日間の祝日となり、家族での帰省や旅行、宗教行事が行われます。 たとえば:
インドネシアやマレーシアでは2〜4日間の連休
アラブ諸国では最大1週間程度の大型休暇になることも!
一方、シンガポールでは1日だけが祝日として指定されており、2025年は6月7日(土)が該当します。
日本人にとっては馴染みが薄く、ハリラヤ・ハジと聞いてもピンと来ない方も多いかもしれません。
「ラマダン明けのハリラヤは知ってるけど、ハジって何?」と思った方へ、今回はその違いやハリラヤ・ハジの意味、過ごし方などを、実際にムスリムの友人に聞いた声も交えてご紹介します✨
🐏 ハリラヤ・ハジって? その由来と意味

ハリラヤ・ハジは、イスラム教の五行のひとつ「ハッジ(メッカ巡礼)」を果たす時期にあたります。
世界中のイスラム教徒が一生に一度は果たしたいと願う巡礼「ハッジ」は、サウジアラビアのメッカで毎年この時期に行われます。ハリラヤ・ハジは、そのハッジを無事に終えた人々をたたえ、巡礼に行けなかった人も敬意をもってお祝いします。
またこの日は、神様への信仰心を試された預言者イブラヒム(アブラハム)の物語にも由来しています。彼は神の命に従って、愛する息子を犠牲にしようとしますが、最終的には神がそれを止め、代わりに羊を捧げさせました。
この出来事にちなんで、今でも世界中のムスリムたちは「クルバン(動物の犠牲)」という儀式で羊や牛などを捧げ、そのお肉を困っている人たちに分け与えるという伝統が続いています。
「ハリラヤ・ハジは、神への信仰、犠牲の精神、そして困っている人々への分かち合いを実践する日なんです」(ムスリムの友人談)

🤔 ハリラヤ・プアサとの違いは?
4月にあった「ハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa/Eid al-Fitr)」は、ラマダン明けを盛大に祝う日。バザールでの賑わいやお祝いムードの街中のイルミネーションなどを思い出す方も多いのでは?
一方のハリラヤ・ハジはより静かで、宗教的な意味合いが濃い日。
「ハリラヤ・プアサは伝統や経済的な意味合いが強くて盛大ですが、ハリラヤ・ハジはより宗教的な日。より神への忠誠心や犠牲の精神を大事にします」
▼ 違いをまとめるとこんな感じ👇
項目 | ハリラヤ・プアサ(4月) | ハリラヤ・ハジ(6月) |
意味 | ラマダン終了の祝い | イブラヒムの信仰と犠牲の記念 |
雰囲気 | にぎやか・華やか・家族の集まり | 静か・内省的・宗教的 |
食事・装い | 豪華なごちそうと正装 | 控えめな食事と礼拝向けの衣装 |
実施される行い | ザカート(施し)、家族訪問など | クルバン(動物の犠牲)、寄付など |
🕌 当日の過ごし方は?
✅ 1. 礼拝
朝、モスクや広場に集まって礼拝と説教(クトバー)を行います。このとき、「タクビール(神への賛美)」が朗読され、神への感謝と自己省察のひとときが持たれます。

✅ 2. クルバン(動物の犠牲)
昔はシンガポールでもモスクで羊を…という風景がよく見られたそうですが、現在では政府の方針により、クルバンはライセンスを持つ業者のみが実施できるようになっています。そのため、実際にクルバンが行われるのは、限られた一部のモスクだけになっているそうです。
「今は企業に依頼して、海外の困っている地域(インドネシア、アフリカなど)でクルバンを行うのが一般的です」
犠牲肉は、地域の貧困層やボランティア、施設などに分配されます。

✅ 3. チャリティと寄付
ザカート(定められた寄付)やサダカ(自由寄付)を通じて、困っている人々への思いやりを形にして届けます。
✅ 4. 家族での時間
親戚を訪ねるよりは、家族だけで控えめにビリヤニやレンダン(お肉の煮込み料理)を楽しむことが多いそうです。

✅ 5. 伝統衣装でモスクへ
モスクに行く際には、バジュ・クルンやバジュ・マレーといった伝統衣装を着用。華美な装いよりも、礼儀と敬意を表す装いをしていくそうです。
🌱 おわりに
同じ国で暮らしていても、知らない文化や風習には、なかなか触れる機会がないものですよね。
動物を犠牲にすることや、飲食を断つといった宗教的な行為は、特に日本人にとっては少し理解しづらいと感じることもあるかもしれません。
でも、「どうして動物を犠牲にするんだろう?」「なぜ断食するの?」と興味を持って調べたり、ムスリムの友人と話してみたりすると、その背景にある信仰心や価値観にふれることができて、シンガポールで暮らしているからこと味わえる面白さを感じられるかもしれません。
そんな日々を重ねていくと、限られた帯同生活もより豊かに、充実したものになっていきますよね。
LIFE TIPS IN SINGAPOREでは、これからも「知っていると生活がちょっとラクになる」「毎日が少し楽しくなる」そんな情報をお届けしていきます。
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