本帰国したいま、帯同期間をどう思う?3ヵ国・6年の帯同生活を経験した小菅亜実さん|帯同者インタビュー
- 11 分前
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海外帯同の数年間。
日本とは違う環境での生活を楽しむ一方で、「この先どうなるんだろう」と、時に不安になる。帯同中はそんな気持ちの揺れを何度も経験することがあるかもしれません。
では、実際に帯同を終えた人は、振り返ってこの時期をどう感じているのでしょうか。
今回お話を伺ったのは、シンガポール、ミャンマー、上海で帯同生活を経験した小菅亜実さん。
最初のシンガポールでは、「自分は何のためにここにいるんだろう」と感じたことも。その後、国を移り、さまざまな人と出会い、2度の本帰国も経験しました。
現在は、海外で暮らす人にセルフケアを届ける「セルフケアなび」を運営しています。
小菅さんと一緒にこれまでの帯同生活を振り返りながら、海外で過ごした時間が、その後の自分にどんなものを残してくれたのかを伺いました。
仕事を辞めてシンガポールへ。「自分は何のためにいるんだろう」
小菅さんの最初の海外帯同は、シンガポール。当時勤めていた航空会社を退職し、ご主人の海外赴任に帯同しました。
もともと海外が好きで、海外で暮らすことにも興味があった小菅さん。最初の半年ほどは、友人と出かけたり、旅行をしたりと、シンガポールでの生活を楽しんでいたといいます。
一方で、生活に慣れてきた頃から、少しずつ気持ちに変化が出てきました。
「最初は楽しかったのですが、半年くらい経って生活にも慣れてくると、『仕事を辞めて、毎日遊んで暮らして、この先どうするんだろう』って考えるようになって。だんだん外に出るのも面倒になってしまいました」
「仕事もしていないし、子どももいなかったので、『自分って何のためにいるんだろう』という気持ちになりました。今振り返ると、アイデンティティロスだったのかなと思います」
習い事などにも挑戦しましたが、これから自分がどうしたいのかは、なかなか見えてこなかったといいます。
そんな中、シンガポールで約2年を過ごした頃、ご主人の次の赴任先として決まったのがミャンマーでした。
本帰国を考えていた中、次の赴任先はミャンマーに

当時、小菅さんは30歳を目前に、そろそろ日本に帰って子どもを持つことも考えていたそう。自分だけ日本に帰ることも考えましたが、背中を押したのは、シンガポールで出会った帯同経験のある人たちでした。
「皆さんに『絶対行った方がいいよ』『普段できない経験ができるから』と言われて。それなら1年間だし、行ってみようと思いました」
実際に始まったミャンマーでの生活は、決して楽なことばかりではありませんでした。生活に慣れるまでにも時間がかかり、何度も日本に帰りたいと思ったといいます。
一方で、日本人コミュニティを通じて知り合いが増え、現地で楽しそうに暮らす人たちとも出会いました。
慣れるまでの大変さはありましたが、最後には「大変なことより面白さが勝った」と振り返ります。
一度目の本帰国を経て、再び海外へ
ミャンマーでの生活を終え、小菅さんは一度日本へ本帰国します。
帰国後はパートの仕事を始め、その後、妊娠・出産。産後の心身の変化をきっかけに、以前から興味のあった植物療法を学び始めました。
「植物療法では、アロマやハーブを、病院に行くほどではない不調のケアに使います。最初は子どものケアから始めて、だんだん自分の体調にも目を向けるようになりました」

日本で3年ほどを過ごした後、ご主人の上海赴任が決まります。
当時はコロナ禍で、上海での生活も隔離や検査からのスタート。それでも、
「ミャンマーで暮らせたんだから、どこでも行けると思っていました」
生活が落ち着いてくると、小菅さんは現地で人とつながれる活動を探し始めます。
そんな中で見つけたのが、セルフケアに関するコミュニティの立ち上げメンバーの募集でした。
ヨガなどを得意とするメンバーと3人で、月に1回のクラスをスタート。口コミで少しずつ参加者が増え、最終的には約500人が参加するコミュニティになりました。
病院の中医学の先生を招いたセミナーや、企業と一緒に行うイベントなど活動も広がり、小菅さん自身も、それまで学んできた植物療法について人前で話すようになります。

「もともと、人に教えたり、人前で話したりするのは苦手でした。でも、誰かと一緒ならできるようになって。参加した方から質問や反応をもらうと、自分でもまた調べるので、それまでインプットが中心だった学びが、アウトプットすることで深まっていきました」
約1年間続けた活動は、小菅さんの本帰国後も、上海に残るメンバーに引き継がれ、現在も続いています。
2度目の本帰国。日本に戻って感じた忙しさ
約3年間の上海生活を終え、2025年夏、小菅さん一家は日本へ本帰国しました。
1度目との大きな違いは、7歳と2歳のお子さんが一緒だったこと。夏休み中の子どもたちを見ながら、日本での生活を一から整えていくことになりました。
「海外に行くときは会社や周りの方のサポートがありますが、日本に帰ってくると、自分で調べて、選んで、手続きをしていかないといけない。子どもたちのケアもあって、精神的にも体力的にもかなり疲れていました」
生活が落ち着いてからも、日本では思っていた以上に自分の時間を作ることが難しかったといいます。
「子どもたちが帰ってくる時間も早いですし、家のことも全部自分でやるので、本当に毎日あっという間。一人の時間はなかなか持てません」
現在は、上海での活動経験をもとに、海外生活経験のある講師とともに、駐在ファミリーに向けたオンラインの「ケアなびスタジオ」を運営。小菅さん自身も植物療法のクラスを担当しています。

ケアなびスタジオでは、海外生活の中で感じる心や身体の不調に目を向けながら、自分に合ったセルフケアを見つけ、日々の生活に取り入れるためのクラスを提供しています。
そんな日本での生活を送る今、改めて6年間の帯同生活を振り返ると、どんな時間だったのでしょうか。
人との出会いで増えた「考え方のものさし」
小菅さんがまず挙げたのが、「日本にいたら出会わなかった人たちとの交流」でした。
ミャンマーや上海では、年齢も国籍も、それまでの経験も違う人たちと話す機会がありました。
「日本にいたら、子どもがいない20代の自分が、高校生のお子さんがいる方と話す機会ってなかなかなかったと思うんです。上海でも、いろいろな国の方と話して、その国では何が普通なのか、子どもの教育をどう考えているのかを聞く中で、それまで自分になかった考え方に触れることができました」
そうした経験は、日本に帰った今も残っています。
例えば、子どもの教育について悩んだとき。日本の学校や周囲の考え方だけでなく、海外で出会った人たちの話を思い出して、「こういう考え方もあったな」と別の見方ができることがあるそうです。
「いろいろな人と話したことで、自分の中にものさしが増えた感じがあります。何かあったときに、『こういう考え方もあるよね』『こっちの選択肢もあるよね』と考えられるようになりました」
こうして自分の中にいくつもの考え方を持てるようになったことで、「以前より生きやすくなった」と小菅さんは話します。
今、帯同中の方へ

最後に、今まさに帯同生活を送っている方へのメッセージを伺いました。
「帯同していると、『せっかく海外にいるんだから、その土地でしかできないことをしなきゃ』と思うこともあると思います。でも、海外で生活しているだけでも、思い通りにいかないことに対応したり、新しい環境に慣れたりしています。自分では気づかなくても適応力はついているし、何もしていないと思うかもしれませんが、『大丈夫、絶対レベルアップしてるよ!!』って伝えたいです」
そしてもう一つ。何かを始めたり、身につけたりすることだけではなく、今ある時間も大切にしてほしいと小菅さん。
「実際に日本に帰ってみると毎日忙しくて、一人でゆっくり考える時間を持つのも難しい。だから、比較的時間のある帯同中に、『本帰国した後、どんな自分になりたいのか、どんな生活をしたいのか』を考える時間を持つと、日本に帰って良いスタートが切れると思います」

小菅 亜実さんプロフィール 植物療法士(フィトセラピスト)
航空会社の客室乗務員を経て、夫の海外赴任に伴いシンガポール・ミャンマー・上海で帯同生活を経験。出産後の心身の変化をきっかけにフィトテラピー(植物療法)を学ぶ。
現在は、海外生活の中で揺らぎやすい心と身体を整えるセルフケアの大切さを、駐在ファミリーへ届ける活動を行っている。2児の母。
セルフケアなび/ケアなびスタジオ
「セルフケアなび」では、海外で暮らす人に向けて、セルフケアに関する情報やイベントを提供しています。
現在注力しているオンラインの「ケアなびスタジオ」では、海外生活経験のある講師によるヨガ・ツボ押し・植物療法などのクラスを開催。さまざまなセルフケアを体験しながら、自分に合った方法を見つけ、日々の生活の中で「自分で自分を整えられる」ことを目指しています。
ケアなびスタジオ https://gold814362.studio.site/
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